第61話 おぼこのあきちゃん いぼにも色々ありますね。
うめ子が、そろそろ腕にあるいぼが大きくなってきたので、知り合いの皮膚科の先生に相談してみるといいかもね。社長もそう言うし、うめ爺なんか、タコ糸で締め上げる練習をしているみたいです。うめ子も心配して、塩船観音様へ毎日行っているそうです。
そんなわけで、今月は、私ごとにな りますが、みな様に、迷惑をかけてはいけませんので、病院に相談に行くことにしました。
その皮膚科は、名栗村の一番奥にありまして、もう80歳は超えているだろうと思いますが、看板に「いぼとり名人80」と書いてあります。
それに1週間のうち、金曜日のみしかやってないんです。でも人がどこからともなくぞろぞろ来ます。
私の番になると、白いかっぽう着を着たおばあちゃん先生が、にこにこしながら、私の腕を見ながら、「これは、これは、元気のいい、いぼだね。このいぼは、あんたのことをとても愛しているようだね。お別れには、少し時間がかかるよ。本当に大事にしていたんだね。一週間に一度来て、だんだんに別れ話をしながらやりますからね。心配しなくていいよ。私は、いぼとり名人80と言われているよ。」
「80って何ですか。」
「それは、お前さんのところの社長が言ってくれたもので、今では、看板にそう掲げているんだよ。」
「あの人も、おしりにでかいいぼが出来て、恥ずかしそうに来たんだよ。その格好ときたら、お笑いだよ。いぼとの相性が良くないものだから、タコ糸で締め上げたら、先生勘弁してくださいとか何とか言って、四つん這いで、ここをぐるぐる回るんだね。お笑いだよ。ナイショの話しだがね。」
「おぼこのあきちゃんは、とても相性がいいし、いぼが幸せそうだから、ゆっくり、ゆっくり、お別れすれば大丈夫だよ。」と言われました。
年内は、頑張りたいと思います。
それにしても社長も苦労されたんですね。 おわり
富岡の景色を見ると気分が癒されます。
2025/10/31